水風呂の温度は何度がベスト?シングル(グルシン)とは?

水風呂の温度は16~18℃がベストだとされており、実際に多くの温浴施設で17℃前後に設定されています。
その理由は、私たちの体に備わっている「TRPチャネル(トリップチャネル)」という温度センサーが、15℃以下の冷刺激で痛みを感じるから。
痛みを感じない最低温度が16℃であり、18℃を超えると逆に「ぬるい」と感じる方が多くなるため、平均して約17℃が水風呂の最適な水温だといわれています。

一方で「シングル」、または「グルシン」と呼ばれる水温が一桁(10℃未満)の水風呂も、一部のサウナ愛好家の間で人気です。
慣れていない人にとっては生命の危険を感じるほど冷たい、というか痛いだけの苦行に思えますが、普通の水風呂では味わえない爽快感がクセになるサウナーも少なくありません。

この記事では水風呂の温度をテーマに、16~18℃がベストだといわれる理由とシングル(グルシン)について解説します。

16~18℃が水風呂のベスト温度とされる理由

15℃以下だと痛みを感じるから

私たちの体には、「TRPチャネル(トリップチャネル)」という温度刺激を感知するセンサーが備わっています。
熱湯を「熱くて痛い」と感じ、氷水を「冷たくて痛い」と感じるのは、TRPチャネルが危険を知らせてくれるから。
私たちはその危険を回避することで、火傷や凍傷から身を守っています。

一口にTRPチャネルと言っても、さまざまな種類と役割があります。
水風呂に関係するのは、「TRPA1(トリップエーワン)」というセンサー。
TRPA1は15℃以下の冷刺激で「痛み」を起こすことが報告されており、このことから水風呂の冷刺激が強く、かつ痛みを感じない最低温度が16℃とされています。
そして18℃を超えるとぬるく感じ、冷刺激が弱くなってしまうため、16~18℃が水風呂のベストな温度だといわれているのです。

16℃でも痛いのは慣れていないから?

そうは言っても水風呂が苦手な方にとっては、16℃でも18℃でも「冷たすぎて痛い!」と感じますよね。
でもそれはただ、水温に慣れていないだけかもしれません。

温かいお風呂の温度は、40~42℃が最適だといわれていますよね。
43℃以上だと「熱すぎる」と感じ、40度未満だと「ぬるい」と感じる方が多いのではないでしょうか。

実はこれもTRPチャネルが関係しており、43℃以上の温刺激で痛みを感じる「TRPV1(トリップブイワン)」というセンサーが働くからです。
つまり、42℃というのは温刺激が強く、かつ痛みを感じない温度の上限。
16℃と同じような刺激がありながら普通に入れるのは、子供の頃から毎日のように入ることで、体が慣れているからではないでしょうか。

16~18℃の冷刺激が40~42℃の温刺激と同じようなものだと思えば、水風呂にも入れる気がしませんか?

【関連記事】水風呂が苦手で入れない!克服するコツと入らなくてもいい理由

もともと16~18℃の水風呂が好まれていた

実は、TRPチャネルが発見されたのは1997年。
2021年に発見者のデヴィッド・ジュリアス(David Julius)教授がノーベル生理学・医学賞を受賞し、話題となりました。

最近まで温度や痛みを感知する仕組みについて科学的な根拠がなかったわけですが、それよりもずっと前から、サウナや銭湯の水風呂の平均的な温度は16~18℃です。
単純にそのぐらいの温度が気持ち良いと感じる人が多く、温浴施設がお客様の需要に合わせていった結果、16~18℃の水風呂が多くなったのでしょう。

もともと好まれていた温度に科学的な根拠も重なったとなれば、水風呂のベストな温度は16~18℃であると、一般論としていえるかと思います。

参考:TRPチャネルと痛み

水温が15℃以下の水風呂は危険?

TRPチャネルが15℃以下、または43℃以上の温度で痛みを起こすのは、体に危険を知らせるためです。
しかし、42℃よりも43℃のお風呂の方が気持ち良いと感じる方がいるように、16℃よりも15℃の水風呂の方が好きな方もいます。
15℃以下だから危険、16℃以上だから安全ということはまったくなく、結局は人によるのです。

水温が20℃のぬるい水風呂であっても、長く入ると体が冷えてしまうので良くありません。
気温20℃というと心地よい気もしますが、それは服を着ているからであって、裸でずっと外にいたら風邪を引いてしまいますよね。
サウナの後、水風呂に入るのは長くても2~3分。
サウナも水風呂も長く入りすぎるのは体に悪いので、決して無理をしないことが大切です。

水風呂の危険性について最も心配なのは、やはりヒートショックかと思います。
温度差が激しいほどヒートショックのリスクが高まるため、サウナの温度は高ければ高いほど、水風呂の温度は低ければ低いほど危険。
そんなことは重々承知の上だと思いますが、サウナを好きになればなるほど、より強い刺激を求めてしまうのがサウナーのさがというものでしょうか。
100℃以上の超高温サウナが珍しくなくなってきたように、シングル(グルシン)と呼ばれる超低温水風呂にハマる人も増えてきています。

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シングル(グルシン)とは?

「シングル」とは水温が一桁(10℃未満)の水風呂のことで、業界用語的に「グルシン」と呼ばれることもあります。
TRPチャネルがバリバリ働くため、冷たいを通り越して痛いです。
「何それ楽しいの?」って思われるかもしれませんが、確かに楽しくはありません(笑)。

ただ、キンキンに冷えた水から出た時の爽快感は、温度が二桁の水風呂とはまったく違います。
その感覚がクセになるサウナーも増加傾向で、未経験者の中にも「グルシンに挑戦してみたい」という方は結構いるのではないでしょうか。

シングル(グルシン)はさすがに危険?

水温が低ければ低いほどヒートショックのリスクが高くなりますので、シングルは普通の水風呂よりも危険と言わざるを得ません。
ですが10℃未満の水に浸かること自体はさほど珍しいことではなく、シングルという言葉がはやるずっと前から、アスリートの間で「アイスバス」というスポーツ療法が行われています。
海外では最近、「コールドプランジ」と呼ばれる自宅でできる冷水浴の人気が高まっているようです。
そしてサウナの本場フィンランドでは、「アイススイミング(寒中水泳)」という習慣があります。

フィンランドには日本のような水風呂文化はありませんが、サウナのそばに海や湖があれば、そこに入って冷浴することもあります。
夏はとても気持ち良いのですが、冬のフィンランドは極寒の地。
首都ヘルシンキでも平均気温はマイナスで、海も湖も凍ってしまいます。
その凍った水面に穴を開けて、水温がほぼ0℃の氷水に浸かるのがアイススイミングです。

日本の滝行のようにごく一部の人だけがやっているのかと思いきや、フィンランドの総人口550万人のうち約10万人がアイススイミングを積極的に楽しんでいるとか。
ただし、アイススイミングの健康効果とリスクに対する検証はまだまだ不十分で、実践する人もその日の体調に配慮し、決して無理をすることはありません。

検証が不十分というのは、それ自体がリスクです。
シングルの水風呂も、危険性がゼロではないことを理解した上で入るようにしましょう。

サウナ依存症に注意

水風呂は正しくリスクを理解し、正しく入ることが大切です。
水温がシングルであっても、基本的に無理をしなければ問題ありません。

シングルの水風呂の怖いところは、「サウナ依存症」になってしまうリスクがあることです。
サウナ依存症とは、普通のサウナや水風呂では満足できなくなり、より強い刺激を求めすぎてしまう状態のこと。
「グルシンじゃないとととのわない」と思うようになったら危険信号です。

TRPチャネルが痛みを起こすのは、その温度が危険だと体に知らせるためです。
15℃以下の水温が痛いと感じるのが正常であり、10℃未満の水風呂に入っても刺激を感じなくなってしまうのは、慣れというよりも異常といえます。
より強い刺激を求めたくなる気持ちはよくわかりますが、ほどほどに抑えておきましょう。

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水風呂の温度を16℃に設定している理由

サウナヨーガン福岡天神では、パブリックサウナの水風呂の温度を16℃に設定しています。
その理由はひとえに、16℃がベストな水温であると考えているからです。
溶岩石とダブルストーブを採用した灼熱のサウナ室「溶岩 -Yogan-」との交互浴により、強い温冷刺激を楽しむこともできます。

強い刺激が苦手な方は、約80℃のサウナ室「夜響 -Yakyo-」をご利用ください。
音響にこだわり、高級スピーカーとコンサート専用ホールで使用される音響拡散体を設置。
ごゆっくりお楽しみいただけるように、約80℃の温度設定に致しました。
水風呂との温度変化もやさしくなりますので、初心者の方も安心してご利用いただけます。

プライベートサウナ「緑 -Green-」の水風呂は、氷で自分の好きな温度に調節することができます。
キンキンに冷えた水風呂が好きな方も、お好みの水温でお楽しみくださいませ。

当店は平和台ホテル天神の9階に併設されているサウナです。
宿泊者以外の方でも、予約不要で日帰り入浴が可能。
お近くの方も遠方の方も、ご来店を心よりお待ちしております。

サウナヨーガン福岡天神

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