ヒートショックプロテインとは?HSP入浴法とサウナ浴の手順

お風呂にゆっくりつかると、疲れが取れたりお肌の調子が良くなったりと、とても気持ちいいですよね。
サウナでも汗をかくだけでストレスが流れ出るような感じがしますし、水風呂や外気浴でととのえばすべての調子が良くなったような気持ちになります。

実はこれ、なんとなくそう感じるのではなく、お風呂やサウナにはさまざまな美容・健康効果が報告されているんです。
その根拠の一つが、ヒートショックプロテイン(HSP)というタンパク質。
損傷した細胞を修復する働きがあり、疲労やストレスの軽減、皮膚や血管の老化予防などに効果があるといわれています。

この記事ではヒートショックプロテインについて、その効果と増やし方を紹介します。

ヒートショックプロテイン(HSP)とは

HSPの役割

ヒートショックプロテイン(HSP)が初めて発見されたのは1962年。
昆虫のショウジョウバエを温度が高い環境下で飼育すると、熱によるストレスによって増加するタンパク質が発見されました。
熱ストレスによって誘導されることから「Heat Shock Protein(HSP)」と呼ばれ、ショウジョウバエは高温から身を守るためにヒートショックプロテインを合成していたのです。

ヒートショックプロテインの役割は、傷んだ細胞を修復すること。
ショウジョウバエ以外にも、あらゆる動物や植物、細菌、そして人においても合成されます。
熱ストレスから身を守り、損傷を受けた細胞を修復することで、身体の防御力を高める働きがあるのです。

野菜の50℃洗いはHSPの作用

 

例えば、レタスを50℃のお湯に90秒つけると、何もしないよりも長く鮮度を保つことができます。
既にしなびてしまったレタスでも、50℃洗いをするとシャキッと復活することがあります。
これは熱ストレスによりヒートショックプロテインが増加し、酸化を防いでいるからです。
これは実際にやってみるとわかりますので、ぜひご自宅で試してみてください。

トマトも42℃で24時間加温すると、完熟するまでの期間が7日から15日に伸びることが報告されています。
つまり、42℃の熱刺激によって、トマトの青く若々しい期間が伸びたということ。
いわゆる「アンチエイジング」ですね。

夏の食中毒もHSPの作用

 

ちょっと嫌な話ではありますが、食中毒の原因菌として悪名高い「O157」にもヒートショックプロテインが存在します。
夏場のBBQで、お肉をしっかり焼いたはずなのに食中毒が発生してしまうことがあるのは、夏の高い気温による熱刺激でO157が強くなっているから。
お肉を外に放置しているとO157のヒートショックプロテインが増加し、致死温度で加熱しても死滅しにくくなってしまうのです!

このように、目に見えて大きいヒートショックプロテインの効果。
私たちヒトの身体においても、美容や健康面で多くの効果があるといわれています。

(参考)ヒートショックプロテイン(HSP70)の魅力

ヒートショックプロテインの効果

 

ヒートショックプロテインは熱ストレスだけでなく、さまざまな物理的・精神的なストレスによっても誘導されることが報告されています。
別名「ストレスタンパク質」と呼ばれ、さまざまなストレスに対して細胞を強くし、私たちの身体を守ってくれるのです。

美容の面では、紫外線ストレスによる日焼けを予防し、メラニンの産生を抑制。
酸化ストレスによる皮膚や血管の老化予防、シワの予防にも効果があるという研究結果もあります。
ニキビも自分でつぶしてしまうと跡が残ってしまいますが、ヒートショックプロテインの働きに任せて修復すると、跡が残らず肌がきれいになるそうです。

健康面では、疲労や筋肉痛の軽減、免疫力向上、そして精神的なストレスの軽減も期待できます。
現在でも多くの企業や大学で研究が進められており、アルツハイマー病やパーキンソン病などに対しても期待できる結果が報告されているとのことです。

ヒートショックプロテインには傷んだ細胞を修復するだけでなく、新たに生成されるタンパク質を正しい構造に導く「分子シャペロン作用」という役割もあります。
新しく生まれる細胞にも、傷んだ細胞にも作用する、美容にも健康にも欠かせない万能のタンパク質。
逆に不足していたらと思うと、老化がどんどん進んでしまいそうで怖いですよね。

(参考)毒性のない HSP 誘導薬の化粧品、医薬品としての開発

ヒートショックプロテインの増やし方

ヒートショックプロテインは、体温を高めることで増加させることができます。
普段のお風呂で温まるだけでも増えますが、しっかり増やすためにはHSP入浴法やサウナ浴を実践するのがオススメです。

HSP入浴法の手順

 

HSP入浴法とは、ヒートショックプロテインを30年以上にわたって研究している伊藤要子博士が推奨している入浴法です。
ポイントは体温を38℃まで上げることと、入浴後に体が冷えないよう保温すること。
ご自宅のお風呂でも実践できますので、ぜひ生活習慣の中に取り入れてみてください。

ステップ1(入浴前)

バスタオルと着替えを、すぐ手が届くところに置きます。
入浴後すぐに体を拭いて着替えることで、体温が下がらないようにするためです。
また、入浴前にたっぷりと水分を取り、脱水症にご注意ください。

お風呂場に入ったら、床や壁にシャワーをかけて浴室内を温めます。
手、足、体と、心臓から遠いところからかけ湯をし、足から手、体の順に湯船に入ります。
もちろんかけ湯だけでなく、シャンプーや石鹸で体を洗ってからでもOKです。

ステップ2(入浴中)

お湯の温度は40~42℃がベストです。
入浴時間の目安は、40℃で20分、41℃で15分、42℃で10分。
平熱が低い方は40℃からスタートするのがいいのですが、20分つかるのはかなり長いですよね。
慣れてきたら水温を上げたり、洗い場に出て休憩したりしながらでも、合計20分つかればOK。
ポイントは体温を38℃まで上げることですので、無理のないように少しずつ上げていきましょう。
体力に自信のない方は半身浴でもOKです。

ステップ3(入浴後)

入浴後の保温は、HSP入浴法で最も重要なステップです。
体温を37℃以上に保つことでヒートショックプロテインが増えますので、体を冷まさないように注意しましょう。

お風呂場から上がったらすぐに体を拭き取り、服を着ます。
夏は冷たい水を飲んだり、冷房の効いた部屋に入ったりしたくなりますが、そこを我慢。
水分は常温、または温かい飲み物で補い、冷房をかけずに最低10分間は保温します。
逆に冬は暖房の効いた暖かい部屋で、毛布などもまといながら体が冷えないようにしてください。

オロポ以外のサウナドリンク!サウナ前後におすすめの飲み物は?

以上がHSP入浴法の手順です。
入浴時間が長いので毎日続けるのは難しいかと思いますが、安心してください。
ヒートショックプロテインは入浴後も増加し、3日ほど効果が継続します。
そのため3~4日に1回、週2回ほどのペースで大丈夫です。

(参考)ヒートショックプロテイン入浴法 – HSP研究者 伊藤要子

HSPサウナ浴の手順

▲フィンランド「Rauhaniemi」にて2023年6月撮影

 

サウナ浴でもヒートショックプロテインを増加させることができます。
ポイントはお風呂の場合と同じで、体温を38℃まで上げることと、入浴後に保温すること。
「ととのう」ための入り方とはちょっと異なりますのでご注意ください。

ステップ1(入浴前)

サウナではロッカーを利用しますので、着替えまでの時間がどうしても長くなります。
できるだけ入口に近いロッカーを利用し、着替えを素早く取り出せるようにロッカー内を整理しておきましょう。
体を冷まさないためには水分を拭き取ることが大切ですので、サウナから出る前に体を拭けるようフェイスタオルを持って入ります。
水分もしっかり取っておいてください。

ステップ2(サウナ浴中)

通常のサウナ浴と同じように、サウナ室に入る前にシャワーでしっかりと体を洗います。
サウナ室に入ったら、比較的温度の低い下段に座るのがオススメです。
目的は「ととのう」ではなく、ヒートショックプロテインを増やすこと。
無理なく体を温められる場所で、サウナ室内にいる時間も少し短めにしましょう。

体が温まったらサウナ室を出て、ぬるめのシャワーを浴びて汗を流します。
水風呂に入ってもいいですが、深部体温が下がらないようにサッと上がりましょう。

外気浴は季節によって変わります。
夏は外が暑く、館内は冷房が効いているので、外気浴をしながら10分間保温します。
冬は外気浴をスキップするか短めにして、暖房の効いた館内で保温しましょう。

体がしっかり温まっていれば、「サウナ → シャワー」のセットは1回でもOKです。
ですが個人的には、2~3回繰り返した方がいいように思います。
その方が気持ちいいですし、せっかくお金を払ってサウナに来ているのですから、しっかり楽しみたいですよね。
また、最後に体が温まった状態で出られればいいので、最初は普通に「サウナ → 水風呂 → 外気浴」のセットでととのってもかまいません。
最後のセットだけ水風呂や外気浴をシャワーに変えて、体温を保ったまま出られればOKです。

ステップ3(入浴後)

サウナからロッカールームへ戻る前に、フェイスタオルで体を拭きます。
ロッカーを開けたらバスタオルでしっかり水分を拭き取り、素早く服を着ます。
とにかく体温を保つことが大切です。

上述した通り、夏は外気浴、冬は館内で体を保温します。
夏は外気浴の時点でヒートショックプロテインが増えていますので、サウナから出てすぐにキンキンに冷えたビールやオロポを飲んでもかまいません。
冬は常温、または温かい飲み物で水分補給をし、冷たい飲み物は10分間我慢。
我慢した後のビールやオロポも美味しいですよ♪

オロポの作り方とその効果!サウナ後に最適な割合とは?

以上がヒートショックプロテインを増やすことを目的としたサウナ浴の手順です。
ポイントはサウナから出る時に体が温まっていて、10分間は保温すること。
ただ、サウナの場合はお風呂よりも熱いので、そこまで意識しなくてもOK。
普通に「サウナ → 水風呂 → 外気浴」の3セットを繰り返せば、十分にヒートショックプロテインが増加すると思います。
HSP入浴法と同じように、週2回のペースでサウナへ通ってはいかがでしょうか。

サウナは毎日入っても大丈夫?効果・デメリット・注意点を解説

サウナでHSP入浴法をお楽しみください

▲弊社自慢のサウナ室「夜響 -Yakyo-」

 

サウナヨーガン福岡天神のサウナ室「夜響 -Yakyo-」は、音響にこだわった設備が自慢。
熱いサウナが苦手な方でもゆっくり楽しめるように、温度は約80℃と低めに設定しております。
無理なくヒートショックプロテインを増やすのに効果的なサウナ室となっておりますので、ぜひ当店でHSPサウナ浴をお楽しみください。

予約不要で日帰り利用が可能。
福岡市の中心部、天神エリアに位置しておりますので、何かの用事のついでにもサクッと入浴できます。
平和台ホテル天神に併設されておりますので、そのまま宿泊するのもオススメ。
近隣の方はもちろん、遠方の方もぜひ当店へ足をお運びください。
皆さまのご来店を心よりお待ちしております。

サウナヨーガン福岡天神トップへ

LINE toypo