フィンランド式サウナが日本で増えている理由と本場との違い

フィンランド式サウナとは、サウナ発祥の地である本場フィンランドのサウナを再現したサウナのことです。
一番の特徴はロウリュができること。
フィンランドでは「ロウリュにはサウナの魂あり」という格言があるほど欠かせないもので、日本でもロウリュができるフィンランド式サウナが増えています。

しかし実際にフィンランドへ行ってみると、日本のフィンランド式サウナの多くは、本場フィンランドのサウナとは少し違うことがわかります。
例えばサウナ室の温度は日本だと80~100℃の高温が主流ですが、フィンランドのサウナは60~80℃と低め。
日本のサウナでは欠かせない水風呂も、フィンランドではあまり見かけません。

この記事ではフィンランド式サウナの特徴や入り方、日本のサウナとの違いについて解説します。
実際に行ってきた本場フィンランドのサウナもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください♪

フィンランド式サウナが人気の理由

▲フィンランド「Clarion Hotel Helsinki」のサウナ室 / 2023年6月撮影

 

フィンランドはサウナ発祥の地とされており、遅くとも約6,000年前にはテントサウナが利用されていたようです。
「Sauna」という単語もフィンランド語。
現在では約555万人の人口に対して300万を超えるサウナがあり、フィンランドは名実ともにサウナの本場なのです。

日本では1950年代からサウナが広まり始めました。
やはりフィンランドのサウナを模したものではありましたが、温度が高く、湿度が低いドライサウナでロウリュはなし。
日本独自のサウナとして進化していきました。

そして近年、空前のサウナブームによりサウナの人気が急上昇。
本場フィンランドのサウナが多くの人に知れ渡るようになりました。
「ロウリュ」もそれまでは一部のサウナ愛好家だけが知っていることでしたが、今ではサウナーでロウリュを知らない人はいませんよね。

一度ロウリュを体験すると、ほとんどのサウナーがその魅力にハマります。
こうしてロウリュを求めるサウナーが増えるにしたがって、ロウリュ可能なフィンランド式サウナの人気が高まっているのです。

【関連記事】サウナの発祥と歴史|起源はフィンランド?日本の発祥の地は?

フィンランド式サウナの特徴

ロウリュ

▲フィンランド「Sataman Viilu」のサウナストーブ / 2023年6月撮影

 

フィンランド式サウナの一番の特徴は、ロウリュができること。
「ロウリュにはサウナの魂あり」といわれるほど、フィンランドのサウナでは欠かせない要素です。

フィンランド式サウナはストーブでサウナストーンを熱し、その熱でサウナ室を温めます。
ロウリュとは熱々のサウナストーンに水をかけて、蒸気を発生させること。
サウナ室内の温度は60~80℃と低めで、蒸気の熱で体感温度を上げていくのがフィンランド式です。

ロウリュによって蒸気がサウナ室内に広がると、湿度が高くなり呼吸がしやすくなります。
低温高湿な空間で心地よく過ごせるのも、フィンランド式サウナの魅力の一つです。

【関連記事】サウナの温度は平均何度?深部体温を上げるのに最適な温度は?

ヴィヒタ

▲フィンランド「Sauna Village Saunakylä」のヴィヒタ / 2023年6月撮影

 

ヴィヒタとは、フィンランドの国樹である白樺の枝葉を束ねたもの。
サウナ浴中にヴィヒタで体を叩くのも、フィンランドのサウナ文化の一つです。

白樺の葉には体の汚れや脂を溶かす性質があり、もともとは体を清めるためにヴィヒタが使われていました。
現代ではシャワーがあるのが当たり前ですが、そうでなかった時代はヴィヒタで体を洗っていたんですね。

ヴィヒタで体を叩くと肌が刺激され、血行がよくなります。
さらに、古い角質を落とし、肌を柔らかくする効果もあるといわれており、スキンケアの目的でも使用されます。
ロウリュの蒸気にあてたヴィヒタの香りはとても心地よく、リラックス効果も抜群。
フィンランドではスーパーや雑貨屋に売っているほど、ヴィヒタは身近なサウナアイテムです。

ちなみにヴィヒタを使ったリラクゼーション施術「ウィスキング」は、フィンランドではなくラトビアの文化。
フィンランドでは自分で体を叩くセルフケアとして利用するのが一般的です。

【関連記事】ウィスキングとは?体験してわかった効果と施術の流れを紹介

フィンランド式サウナと日本のサウナとの違い

▲フィンランド「Ilola Inn」のサウナ室 / 2023年6月撮影

温度と湿度

フィンランド式サウナは温度が60~80℃と低く、ロウリュの蒸気で湿度が高いのが特徴です。
一方で、日本で一般的な遠赤外線サウナは、温度が80~100℃と高く、湿度は10%ほど。
温度が高く設定されているのは、湿度が低いと体感温度が上がりにくいからです。

高温のサウナに慣れている私たち日本人は、サウナ室内の温度が60~80℃だと物足りなく感じてしまいますよね。
そのため、日本ではロウリュ可能なフィンランド式サウナであっても、サウナ室の温度が80~100℃に保たれていることも少なくありません。

高温のサウナ室でロウリュをすると、強烈な熱気が肌を刺激します。
フィンランド人は熱すぎると感じるようですが、日本は日本で独自のサウナ文化を作っていければいいのではないでしょうか。

【関連記事】高温サウナの魅力とは?100℃以上でも火傷しないのはなぜ?

ロウリュのタイミング

フィンランドのサウナはセルフロウリュが基本。
ロウリュで自分の好きな体感温度に調整していくスタイルなので、30秒~1分おきに行うことも珍しくありません。
サウナ室内に複数の人がいる時は、順々にロウリュを回していきます。

サウナ室内の温度が高い日本では、ロウリュの間隔はおよそ10分に1回。
頻繁に行うと熱くなりすぎてしまうため、周りの人への配慮も必要です。

フィンランドのサウナには、オートロウリュがほとんどありません。
ロウリュの間隔が長く、好きな時に好きなだけとはいかない日本だからこそ、オートロウリュが合っているのかもしれませんね。

【関連記事】ロウリュとは?ロウリュウとは違う?蒸気の効果とやり方を解説

アウフグース

日本ではアウフグースも人気が高まっていますよね。
ロウリュの蒸気をタオルであおぐパフォーマンスはエンタメ要素もあって楽しいのですが、フィンランドではまったくと言っていいほど流行っていません。
フィンランドでは「サウナの穏やかで瞑想的な性質が乱れる」と、アウフグースに批判的なサウナ愛好家が多いようです。

アウフグースはフィンランドではなく、ドイツのサウナ文化。
ドイツではアウフグースの世界大会が開催されており、2023年はなんと日本人がチャンピオンとなりました!
さまざまな国の文化を取り入れ、独自に進化させていくのは日本人の強みですね。

【関連記事】アウフグースとは?ドイツ語の意味と熱波師イベントの楽しみ方

水風呂

日本人にとっての水風呂は、フィンランド人にとってのロウリュと同じぐらい欠かせない要素ですよね。
しかしフィンランド人にとって水風呂は必須ではなく、人工的な水風呂が設置されているサウナはほとんどありません。
近くに湖や海があれば入ることもありますが、サウナの後はシャワーで汗を流して外気浴を楽しむのが一般的です。

日本人のサウナーの方でも、水風呂が苦手な方は少なくないと思います。
「水風呂に入れないなんて初心者だね」とか言ってくる人がいたら、こう言い返してやりましょう。
「本場フィンランドの入り方を実践してるんです!」と。

【関連記事】水風呂が苦手で入れない!克服するコツと入らなくてもいい理由

フィンランド式サウナの入り方

▲フィンランドでほぼ100年続くサウナ「Rauhaniemi」 / 2023年6月撮影

 

フィンランド式サウナも、入り方は普通のサウナと基本的に同じです。
ポイントはロウリュのタイミング。
ここではフィンランドとの違いも交えながら、フィンランド式サウナの入り方を解説します。

【関連記事】サウナの正しい入り方とマナー|初心者におすすめのサウナは?

1. シャワーで体を清める

まずはシャワーで体の汚れをきれいに洗い流します。
サウナ室に入る前に体を清めるのはフィンランドでも同じ。
皮脂や毛穴の汚れを落とすことで発汗もよくなります。

2. サウナ室内での過ごし方

日本では黙浴・静寂が基本ですが、フィンランドでサウナは会話を楽しむ場所でもあります。
といってもそんな大声ではなく、近くにいても気にならないぐらいのトーンです。
飲酒後のサウナは絶対にNGですが、フィンランドではたまに酔っ払いもいます(笑)。

フィンランドのサウナ室には時計や12分計がありません。
時間ではなく自分の体の状態を目安に、自分が出たくなったら会話中でも先に出ます。
「あと何分」と我慢してしまいがちな私たち日本人が見習いたい入り方です。

3. ロウリュのやり方

フィンランドではロウリュをじゃばじゃば行いますが、日本では10分に1回程度が目安。
といわれても、自分がサウナ室に入った時に、前回のロウリュが何分前だったかなんてわかりませんよね。
ですので、日本でも基本的には自分が蒸気を浴びたい時でOK。
ロウリュの前に一言声をかけるのがマナーとされていますが、そういうのが苦手な方はオートロウリュのサウナ室を利用しましょう。
周りを気にせずロウリュを好きに楽しめる、プライベートサウナもおすすめですよ。

【関連記事】プライベートサウナ(個室サウナ)を利用するメリットと選び方

4. 外気浴

フィンランドのサウナには基本的に水風呂がないため、シャワーで汗を流して外気浴へと移ります。
外気浴で休憩するのは日本もフィンランドも同じ。
フィンランド人に「ととのう」という概念はありませんが、リラックスする、ストレスを解消する、頭をスッキリさせる、といった点では同じような感覚かと思います。

【関連記事】サウナに外気浴が必要な理由|ととのうための時間と効果を解説

【行ってきた】本場フィンランドのサウナを紹介

最後に本場フィンランドのサウナをご紹介します。
当施設を建設する前にフィンランド・エストニア・チェコへと視察へ行き、フィンランドだけで11カ所のサウナをめぐりました。

ヘルシンキの超有名サウナ「LÖYLY(ロウリュ)」

▲フィンランド「LÖYLY」の外観 / 2023年6月撮影

 

フィンランドでもっとも有名なサウナともいわれている「LÖYLY(ロウリュ)」。
首都ヘルシンキにあり、予約しないと入れないほどの人気ぶりです。
私が行った時は現地の人以外に観光客も多く、かなりにぎわっていました。

サウナ室は「コンテナサウナ」、「薪サウナ」、「スモークサウナ」の3つ。
コンテナサウナは全面ガラス張りで、バルト海の景色が最高。
サウナはもちろんフィンランド式で、セルフロウリュで温まります。
サウナ室を出たらバルト海へドボン。
テラスでの外気浴も開放感にあふれていました。

▲サウナの後はバルト海へ飛び込み

 

▲テラスでの外気浴は最高の一言

スモークサウナ村「サウナキュラ」

▲フィンランド「Sauna Village Saunakylä」 / 2023年6月撮影

 

スモークサウナは伝統的なフィンランド式サウナの一つです。
薪でサウナストーンを熱し、煙突のないサウナ室内に煙を充満させながら温めます。
充分に熱くなったら扉を開けて煙を放出。
サウナストーンの余熱でサウナを楽しみ、ロウリュで温度や湿度を調整します。

日本では消防法をクリアするのが難しく、なかなか実現できないスモークサウナ。
ですがフィンランドにはなんと、スモークサウナだけを集めた村があるんです。

首都ヘルシンキから北へ約230km。
「Sauna Village Saunakylä(サウナキュラ)」には、24種類ものスモークサウナがあります。
サウナ室に入ってみると、体感温度は70~80℃ぐらいといった印象。
ですがロウリュをするとものすごい熱気で、余熱とは思えないほどの熱さに驚きました。

▲スモークサウナ室の内部

 

▲煙を外に出す様子

フィンランド最古のサウナ「ラヤポルティン」

▲フィンランド「Rajaportin Sauna」 / 2023年6月撮影

 

フィンランドに現存する最古のサウナとして有名な「Rajaportin Sauna(ラヤポルティン・サウナ)」。
創業は1906年。作りはほとんど当時のままです。
地元の方々に愛され続けて、もうすぐ120年を迎えようとしています。

巨大なサウナストーブに長さ1mの薪木を何本も入れ、重さ1トンものサウナストーンを真っ赤になるまで温めます。
ストーブが大きいのでロウリュはひと苦労。
頭の高さにあるストーブのふたを開けて、柄の長いひしゃくを使ってかけ水をします。
力強い蒸気がぶわっと吹き出し、汗もぶわっと大量発汗。
水風呂はありませんが、中庭でだらだらと過ごす外気浴の時間がとても心地よかったです。

▲長くて重いひしゃくでロウリュ

 

▲中庭で外気浴

百聞は一見にしかず

▲フィンランドの船上サウナ / 2023年6月撮影

 

その他にも船の上でサウナを楽しむサウナクルーズ、スキージャンプ台にあるサウナ、インフィニティプール付きの貸切サウナなど、フィンランドには面白いサウナがたくさんありました。
今はネットやSNSで海外のサウナ情報も簡単に調べられますが、実際に行ってみないとわからないこと、行ってみて初めて気付くことばかりです。
当施設をより良いサウナにしていくために、フィンランドはもちろん、国内外のサウナを定期的に視察していきたいと思います。

こだわりのフィンランド式サウナをお楽しみください♪

▲プライベートサウナ「緑 -Green-」のサウナストーブ

 

当施設には3つのサウナ室がありますが、すべてロウリュ付きのフィンランド式サウナがベースとなっております。

メインサウナ室「溶岩 -Yogan-」は、フィンランド式サウナストーブと遠赤外線ストーブの2基を使用。
体感温度が100℃近くになる高温のサウナ室に、ロウリュで灼熱の熱気を送ります。

音響設備が自慢のサウナ室「夜響 -Yakyo-」は、セルフロウリュが可能。
温度は約90℃に設定しており、心地よく過ごせるサウナです。

プライベートサウナ「緑 -Green-」は、名前の通り植物をふんだんに置いております。
こちらも音響にこだわり、サウナ室のベンチが振動するインビジブルスピーカーを使用。
プライベートサウナとしては珍しい外気浴も完備されており、ごゆっくりお楽しみいただけます。

サウナヨーガン福岡天神は、福岡市の中心部、天神エリアに位置するサウナです。
平和台ホテル天神に併設されておりますので、遠方の方も福岡への出張や観光にぜひご利用ください。
皆さまのご来店を心よりお待ちしております。

LINE toypo