サウナで疲労回復するのはなぜ?7つの理由と入り方の注意点

「仕事の疲れを癒やしたい」
「ストレスを解消したい」
「頭をスッキリさせたい」

 そんな時にこそ、疲労回復を求めてサウナへ行きたくなる現象ってありますよね。でも疲れている時ほど、たまりにたまった疲労物質を全部出そうとして、ついつい無理をしてしまうのがサウナの常。そうすると逆に疲れてしまったり、翌日にだるくなったりしてしまうので要注意です。

 この記事ではサウナが疲労回復につながる7つの理由と、翌日に疲れを残さないための入り方について解説します。

サウナが疲労回復につながる7つの理由

 疲労には主に2種類あります。肉体的な疲労と、精神的な疲労です。肉体的な疲労はデスクワークによる肩こりや眼精疲労、運動した後の筋肉の疲れなど。精神的な疲労はストレスによる倦怠感や抑うつ感、仕事があふれかえっている時の脳疲労などなど。

「サウナにはこれらすべての疲労を回復させる効果がある」

 というのはさすがに言い過ぎだと思われるかもしれませんが、7つの納得できる理由がありますので、一つひとつ解説していきます。

血流が良くなり、疲労物質が流されるから

▲小林弘幸著『自律神経の名医が教える!サウナのトリセツ』(学研プラス)

 

 サウナに入った後、全身の細胞が入れ替わったような感覚を覚えたことはありませんか?

『サウナのトリセツ』の著者であり、自律神経の名医と呼ばれる小林弘幸氏は、「健康とは血流がよいこと」という理念を掲げています。血液の最大の役割は、全身の細胞に酸素や栄養を送り届けて、代わりに二酸化炭素や老廃物を回収すること。要するに血液の流れがよくなれば全身の細胞が健康になり、逆に悪くなれば老廃物がたまって不健康になるというわけです。

 サウナに入ると、体の熱を外に逃がそうと血管が拡張し、心拍数が上がります。血流量は安静時の2倍にもなるといわれており、全身の臓器や細胞にたくさんの栄養を行きわたらせるとともに、疲労物質を含む老廃物を回収。こうして細胞が健康になり、疲れの原因物質が洗い流されていくため、疲労回復につながります。全身の細胞が入れ替わる感覚というのは、あながち間違ってはいない表現といえますね。

免疫力が上がり、疲れがたまりにくくなるから

 血液には免疫細胞を運ぶ役割もあります。血液の成分の一つである白血球にはさまざまな種類の免疫細胞があり、病原体を見つけては排除することで、病気の予防や治療に貢献しています。サウナ浴によって血流がよくなることは、免疫細胞を全身にめぐらせて、免疫力を上げることにもつながるのです。

 実際にオーストリアのウィーン大学が1990年に発表した論文によると、サウナに週2回以上入る人の方が、サウナに入らない人に比べて約50%も風邪にかかる率が低かったそうです。これはつまり、サウナに入ることで免疫力が上がったと考えられます。
(参照:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2248758

 免疫力が下がると風邪を引きやすくなるのはもちろん、本格的な病気とまではいかなくても、なんとなく熱っぽかったり、胃腸の調子が悪くなったりと、体調不良になりがち。体の調子が悪いと、普通に生活しているだけでも余計に疲れを感じますよね。サウナで免疫力をアップさせることも、疲れをもたらす不調の改善につながり、疲労回復効果を期待できます。

温熱効果によって、筋肉がほぐれるから

 オフィスでのデスクワークが中心のビジネスマンにとって、肩こりや腰痛、そして眼精疲労は、疲れたと感じる一番の症状ではないでしょうか。ずっと同じ姿勢で座りっぱなしでいると、肩や腰の筋肉が凝り固まり、血行が悪くなってしまいます。そうなると筋肉への酸素や栄養の供給が不足し、乳酸などの老廃物が蓄積。肩こりや腰痛がますますひどくなり、眼精疲労も悪化する一方です。

 サウナではまず、体が温まります。温熱効果によって凝り固まった筋肉がやわらぎ、血流が増加。上述の通り血流がよくなることで疲労物質が押し流され、肩こりや腰痛の解消へとつながります。眼精疲労においても、温かいタオルなどを当てると気持ちいいですよね。それと同じように、サウナでは単純に体が温まることで疲労回復効果を実感できます。

HSPが増加し、細胞の修復が進むから

 HSP(ヒート・ショック・プロテイン)とは熱によるストレスによって誘導されるタンパク質で、その役割は傷んだ細胞を修復すること。疲労回復やストレスの軽減、免疫力の向上など、さまざまな効果を発揮するといわれています。

 HSPは体温が38℃以上になると増加するとされており、サウナはその体温を上げるのにうってつけの入浴法。体の深部までしっかりと温めることで、HSPによる疲労回復効果を得ることができます。しかも、HSPの効果は2~3日持続するそうで、しばらくは疲れにくい体で過ごすことができるのです。HSPについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にご覧ください。

【関連記事】ヒートショックプロテイン(HSP)とは?サウナでの増やし方

自律神経がととのい、ストレスが解消されるから

 私たち現代人が疲れてしまう一番の原因は、やはりストレスではないでしょうか。肉体的な疲労はむしろ心地よいこともありますが、ストレスによる疲労はぐったりと重く感じますよね。寝ても疲れが取れなかったり、そもそも眠れなくなってしまったりと、自律神経が乱れて悪循環に陥ってしまいます。「疲れた⋯⋯」と感じるのは、自律神経の機能が低下している証拠。その機能を活性化させるには、交感神経と副交感神経を大きく刺激することが効果的です。

 サウナ浴は過酷な高温環境に身を置き、さらに過酷な水風呂へと突入するという、交感神経を大いに刺激する行為です。外気浴に移ると一気に副交感神経が優位になり、いわゆる「ととのう」状態となります。こうして交感神経と副交感神経を目覚めさせることで自律神経が正常化し、たまっていたストレスがリセット。夜の寝付きもよくなるので、疲れが取れてスッキリと翌日を迎えられますよ。

【関連記事】サウナで自律神経が整う?季節の変わり目の体調不良対策に!

眠りが深くなり、成長ホルモンが分泌されるから

 自律神経がととのうことで寝付きが良くなるのは、交感神経から副交感神経への切り替えがうまくできるようになるからです。人は夕方になると副交感神経が優位になり、自然と眠くなる仕組みが備わっています。しかし夜遅くまで残業したり、早く帰れたとしても仕事のことが頭から離れなかったりすると、なかなか休息モードに切り替わりません。布団に入っても眠れなかったり、寝ても眠りが浅かったりすると、疲れが翌日に残ってしまいます。

 2019年に報告された研究結果によると、週に1~2回サウナ浴をしている人の約83.5%がサウナ利用後に睡眠の改善が得られたとのことです。具体的なメカニズムはまだ研究途中でありますが、自律神経が正常化することも一因と考えられるかと思います。
(参照:https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0965229919300998

 深い眠りが疲労回復につながることは言うまでもありませんが、その要の一つが成長ホルモン。赤ちゃんから大人になるまで成長を促すために働く成長ホルモンが、成人した後はなんと日中に負った心身のダメージを睡眠中にメンテナンスする役割を果たしてくれるのです。成長ホルモンが最も多く分泌されるのは、入眠後の3時間。いわゆる睡眠のゴールデンタイムと呼ばれる時間で、この間に深い眠りに入ることが重要です。短い睡眠時間しか確保できなくても、3時間しっかり眠れれば疲労回復効果を期待できますので、定期的なサウナ浴で自律神経をととのえて、睡眠の質を高めておきましょう。

【関連記事】サウナ後に眠くなるのはなぜ?睡眠の質を上げて次の日すっきり

脳疲労が取れて、頭がスッキリするから

 深い眠りは、脳内の疲労物質を排出する働きもあります。2013年にアメリカのロチェスター大学の研究チームが発表した論文によると、眠りの深いノンレム睡眠中に脳内の循環がよくなり、老廃物の排出力が高まることが発見されたそうです。ぐっすり眠れた翌朝に頭がスッキリしているということは、実感としてもあるのではないでしょうか。
(参照:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3880190

 また、サウナ室内では強制的に脳の思考を停止させることができます。実は脳にはDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)という思考回路があり、ぼーっとしているつもりでも常に考えごとをしています。それがなんと脳全体の60~80%ものエネルギーを消費しており、脳疲労が勝手にたまっていくのです。サウナ室内は普通には生きていられない超高温の空間。サウナ室に数分もいれば、熱さに耐えられなくなって何かを考える余裕などなくなりますよね。DMNの働きが強制的にストップするので、脳疲労が取れて頭がスッキリ。ととのうへと導かれます。

【関連記事】サウナで脳のゴミを洗い流そう!頭がスッキリする理由を解説

《参考書籍》
・小林弘幸著『自律神経の名医が教える!サウナのトリセツ』(学研プラス)
・加藤容崇著『医者が教えるサウナの教科書』(ダイヤモンド社)

サウナ後は逆に疲れる?入り方の5つの注意点

▲エストニア「Elamus Spa」のサウナ室 / 2023年6月撮影

 

 このようにサウナには疲労回復につながる効果を大いに期待できるのですが、サウナに入ると逆に疲れてしまう、翌日がダルいという方も少なくありません。せっかく疲れを癒やしにきたのに、逆に疲れてしまう一番の要因は、無理をしていることです。いろんなところで言われているように、サウナは我慢大会ではありません。決して無理することなく、適度に楽しむことが肝心です。しっかりと疲労を回復させて、翌日に疲れを残さないための入り方の注意点を解説します。

あまりに疲れ過ぎている時は寝る

 まず、あまりに疲れている時、3日3晩働き詰めでふらふら、なんて時はサウナに行かず寝ましょう。意識がもうろうとしているような時のサウナは、ふらついて転倒したり、サウナ室内で眠ってしまったりと危険です。そこまで疲れがたまっている時は、サウナに行かずとも眠れるかと思います。

 ただし、徹夜明けでぐっすり眠りたいのに寝れない、ハイになっているような時のサウナはありです。私の場合は特に、中年になってから感じるのですが、どんなに疲れていてもお昼まで寝るということができません。朝6時とか7時に寝ても、せいぜい朝9時には目覚めてしまうのです。自然に目覚めたからといって、疲労は残ったまま。そんな時にサウナに行くと、短い仮眠でも熟睡できます。徹夜明けでそのまま出社する場合も、サウナ+仮眠がオススメ。朝から営業しているサウナもありますので、ぜひ利用してみてくださいね。

【関連記事】朝サウナの効果と入り方|朝ウナのメリット・デメリットを解説

完全に体調を崩している時は寝る

 サウナには免疫力を高める効果も期待できますが、原則として「予防」であり、「治療」にはなりません。完全に発熱している時や、風邪を引いている時などはやめておきましょう。もはや言う必要もないとは思いますが、そんな時にサウナに入れば倒れますし、他の利用者に病気をうつしてしまうリスクもあります。完全に体調を崩してしまっている時はサウナではなく病院へ行き、自宅で安静に過ごしましょう。

無理をして長く入り過ぎない

 以上のように極端に疲れていたり、体調不良がはなはだしい場合でなければ、サウナはやはり疲労回復に有効といえます。ポイントはただ一つ、無理をしないこと。我慢して長く入り過ぎない、セット数を増やしすぎない、十分に水分補給をすることが大切です。

 私が若い頃にそうだったのですが、サウナに長く入れば入るほど疲労物質がたくさん排出されるのではないかと思い、疲れている時ほど無理をしていました。でもこれは完全に逆効果。確かにサウナ前にたまっていた疲労は回復しますが、やり過ぎると今度はサウナで疲れてしまうのです。

サウナ室も水風呂も、普通ではない過酷な環境です。体には大きな負担がかかります。慣れてくるとこの点を忘れがちになってしまうのですが、どんな時も無理をせず、自分のペースで気持ちよくなったら帰りましょう。

サウナ室で体の芯までしっかり温める

 無理をしていないつもりでも疲れが取れない場合は、もう少し長くサウナにいてもいいかもしれません。よくありがちなのは、サウナ室で十分に体が温まっていないうちに、水風呂へ入ってしまうことです。

 サウナ室では皮膚表面の体温が先に上がるため、十分に温まったつもりでも体の芯の深部体温はまだ上がっていないということがあります。そのような場合は水風呂が冷た過ぎて、不快にしか感じられません。それでも無理に水風呂に入ると、体がただ冷えてしまいます。

 深部体温は一気に上がるのではなく、じわじわと上がります。できるだけ長くサウナ室にいる方がいいので、比較的温度の低い下段に座るのがおすすめです。また、水風呂が冷た過ぎると感じる時はスキップして、外気浴で休憩してから再びサウナ室へ戻り、深部体温を十分に高めてから水風呂へ向かうといいですよ。

外気浴でしっかりと休憩する

 外気浴も疲労回復に重要なポイントです。サウナと水風呂で高ぶった交感神経を一気にしずめてリラックス。心拍数が正常に戻るまでしっかりと休みましょう。これを怠ってサウナと水風呂ばかりをくり返してしまうと、交感神経が優位な状態が連続してただただ疲れてしまいます。疲労回復のためにサウナへ来たつもりが、さらに疲労を重ねるだけとなってしまいますので、心地よい「ととのいタイム」を十分に味わってから次のセットへと進むことが大切です。

【関連記事】ととのうってどんな感じ?サウナで整う理由をわかりやすく解説

心地よい温度と音で疲労回復

▲サウナヨーガン福岡天神のサウナ室「夜響 -Yakyo-」

 

 サウナヨーガン福岡天神のサウナ室「夜響 -Yakyo-」は、サウナ浴をゆっくり楽しめる90℃程度に温度を設定しております。「夜響」というサ室名の通り、暖色のほんのり暗い照明と、こだわり抜いた音響設備から流れるリラックス音により、心地よいひと時をお楽しみいただけるサウナ室です。セルフロウリュで蒸気をまといながら、じっくりと疲れを癒やすことができます。

 また、屋内のととのいスペースに加えて、福岡天神の夜景や夜空を眺められる屋上外気浴スペースもございます。非日常的な空間で日常を忘れて、体も心も脳もスッキリ。いつも誰かのために頑張っている自分をねぎらって、明日からまた頑張ろうと思っていただけるような場所でありたいと思っております。皆さまのご来店を心よりお待ち申し上げております。

 

※改修工事のお知らせ

 当施設はさらに快適な施設を目指すため、2024年9月27日(金)10:00 ~ 11月上旬にかけて改装工事を行います。パブリックサウナは休業(プライベートサウナは時短営業)となりますが、営業再開となりましたら当サイトや各SNSで告知いたしますので、そちらをチェックしていただけますと幸いです。

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